歯がぐらついている
口臭が気になる
口を触ろうとすると嫌がるので、痛みがあるのだと思う
とのことで、かかりつけの動物病院からの紹介で来院されました。
以前、無麻酔での歯石取りを2回受けられたそうです。
口腔内を確認すると、
上顎犬歯部分の歯肉は赤く腫れ、炎症を起こしていました。
切歯の多くはひどくぐらついていました。
歯垢・歯石も多く、歯肉は後退し、重度の歯周病が起こっていると思われました。
充分な術前検査の上で、麻酔下での歯科処置が必要であることをお伝えし、後日検査、そして歯科処置を行いました。
まず、口腔内を確認します。
ほぼすべての歯の歯周ポケットが、歯垢・歯石や膿のようなもので覆われていました。
歯肉は炎症により赤く腫れ、痛そうです。
スケーリング
まず、表面の汚れを超音波スケーラーで落とします。
歯周プローブ検査
ポケットが深くなっている歯が多く、右上顎の3本の歯は、プローブが根元まで入ってしまう状態でした。
歯科レントゲン検査
多くの歯の歯根部の周りが黒く抜けていました。
これは、炎症により歯の周りの組織が破壊され、
歯を支えている歯槽骨が吸収され無くなってきているということです。
進行すると、歯のぐらつきや脱落、顎骨の骨折などを引き起こします。
ポケットが深かった歯に通水テストを行ったところ、
右上顎第3切歯・犬歯・第2前臼歯、左上顎第2前臼歯が
口腔鼻腔ろうになっていることがわかりました。
*口腔鼻腔ろう (こうくうびくうろう)
上顎の歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が吸収され鼻まで達します。
すると口と鼻がつながった状態になり、これを口腔鼻腔ろうと言います。
クシャミ・鼻水・鼻出血・目ヤニなどの原因となり、根本的治療はまず原因となる歯を抜歯することです。
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当院では、処置前に麻酔下で検査を行い、歯1本1本について温存できるかどうか判断をします。
不必要な抜歯処置は行いません。
しかし、感染が歯根部まで及んでいる場合や、歯を支える組織が破壊されてひどくぐらついている場合などは、
歯を残してしまうと感染や痛みを取り除くことが難しいため、抜歯処置が必要となります。
今回のケースでは重度の歯周病が起こっていたため、多くの歯を抜歯することになりました。