*ハミガキをしているが口が臭うようになってきた
とのことで来院されました。
口腔内を確認すると、右上顎犬歯に比べ左上顎犬歯が長く歯肉部の発赤・腫れがありました。
また、他の歯の歯垢・歯石も確認されましたので
麻酔下での歯科手術をおすすめしました。
飼い主様は全身麻酔が心配とのことで
定期的に歯科検診を行いながら様子を見ていましたが
左上顎犬歯はさらにぐらつき、歯肉部分の腫れも強くなりましたので
歯科手術を行うことを決断されました。
◎歯が伸びた状態になることを歯の挺出と言い、猫ちゃんの上顎犬歯に最も多く見られます。
実際には歯が伸びたのではなく、
歯槽骨炎や慢性歯周病などにより歯が押し出されたような状態です。
進行すると長くなった歯が下顎にあたり歯肉を傷つけたり、破折が起こったり、
歯がぐらついたりすることで痛みや不快感を生じます。
後日、術前検査を行い歯科手術を実施しました。
スケーリング
歯周プローブ検査
ぐらついている左上顎犬歯の歯周ポケットは、8mmと非常に深くなっていました。
右上顎第3前臼歯も7mmと深くなっていましたが、ぐらつきはありませんでした。
レントゲン検査
左上顎犬歯です。
歯槽骨の吸収により黄色斜線部分の骨が溶けてしまっています。
右上顎第3臼歯です。
ポケットは7mmと深かったですが、レントゲンでは異常は確認されませんでした。
左右下顎第1前臼歯です。
猫破歯細胞性吸収病巣(FORL)が確認されました。(黄色矢印)
この2本の歯の歯根は既に吸収が進み、歯冠も無くその上を歯肉が覆っている状態でしたので、
処置は行わず様子を診て頂くこととしました。
検査の結果、左上顎犬歯の抜歯を決定しました。