左上顎犬歯がぐらついている<歯槽骨炎・吸収病巣>(チンチラ 11才)歯科症例171-①

 

 

*ハミガキをしているが口が臭うようになってきた

とのことで来院されました。

口腔内を確認すると、右上顎犬歯に比べ左上顎犬歯が長く歯肉部の発赤・腫れがありました。

また、他の歯の歯垢・歯石も確認されましたので

麻酔下での歯科手術をおすすめしました。

 

飼い主様は全身麻酔が心配とのことで

定期的に歯科検診を行いながら様子を見ていましたが

左上顎犬歯はさらにぐらつき、歯肉部分の腫れも強くなりましたので

歯科手術を行うことを決断されました。

 

 

 

◎歯が伸びた状態になることを歯の挺出と言い、猫ちゃんの上顎犬歯に最も多く見られます。

実際には歯が伸びたのではなく、

歯槽骨炎慢性歯周病などにより歯が押し出されたような状態です。

進行すると長くなった歯が下顎にあたり歯肉を傷つけたり、破折が起こったり、

歯がぐらついたりすることで痛みや不快感を生じます。

 

後日、術前検査を行い歯科手術を実施しました。

 

 

 

 

スケーリング

 

 

歯周プローブ検査

 

ぐらついている左上顎犬歯の歯周ポケットは、8mmと非常に深くなっていました。

右上顎第3前臼歯も7mmと深くなっていましたが、ぐらつきはありませんでした。

 

 

レントゲン検査

 

左上顎犬歯です。

歯槽骨の吸収により黄色斜線部分の骨が溶けてしまっています。

 

右上顎第3臼歯です。

ポケットは7mmと深かったですが、レントゲンでは異常は確認されませんでした。

 

左右下顎第1前臼歯です。

猫破歯細胞性吸収病巣(FORL)が確認されました。(黄色矢印)

 

この2本の歯の歯根は既に吸収が進み、歯冠も無くその上を歯肉が覆っている状態でしたので、

処置は行わず様子を診て頂くこととしました。

 

 

 

検査の結果、左上顎犬歯の抜歯を決定しました。

 

 

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2024年09月25日