歯の汚れが気になる・歯みがきしたら出血した<歯周病・吸収病巣>(猫 Mix 4才)歯科症例 92

 

歯の汚れが気になる。歯みがき教室をしてほしい。とのことで来院されました。

上顎臼歯部分に歯垢・歯石の付着・歯肉炎が認められました。

飼い主さまの希望もあり、歯みがき教室を行い、経過を観察することになりました。

 

~3週間後~

歯ブラシで歯みがきすると出血し、痛みがあるのか嫌がります。とのこと。

上顎臼歯部分は、発赤・腫脹があり、症状の改善が見られませんでしたので、歯科処置を行うことになりました。

 

 

大きな異常は認められませんでしたので、処置を実施することになりました。

 

 

プローブ検査

 

ポケットは、1~2mmと浅かったのですが、左右上顎の第1前臼歯は、すでに欠損していました。

また、右上顎第2前臼歯はごく初期の猫破歯細胞性吸収病巣が確認されました。

 

レントゲン検査

歯肉の発赤・腫脹が最もあった左上顎第3前臼歯と第1後臼歯部分です。

プローブ検査で、1mm・2mmとポケットが浅く、レントゲン検査においても、骨吸収像は見られませんでしたので、温存しました。

 

スケーリング

 

ルートプレーニング

 

ポリッシング

 

歯科用抗生物質軟膏注入

 

 

 

 

 

 

 

 

<処置当日>

「家に帰った直後は隠れていましたが、すぐに出てきて、いつもの居場所でくつろいでいました。しばらくすると、おもちゃで遊んでほしいと催促し、ごはんも完食していました。」とのことでした。

 

<処置から1週間>

「元気も食欲もあります。口を気にする様子もありません。あくびをした時に見える歯が、ピカーッと光っていて、とてもうれしいです。」とのことでした。

歯肉の発赤は減りましたが、左上顎第3前臼歯部分に、歯肉の発赤とわずかな出血がありました。

 

<処置から3週間>

「歯肉の赤みはとてもマシになったと思う。元気も食欲もあり、歯みがきも再開しています。」とのこと。

歯はとてもきれいで、左上顎第3前臼歯の発赤もほぼなくなり、出血もしていませんでした。

 

今後は、この状態を維持していただくため、継続して歯みがきを続けていただくようにお伝えしました。

 

 

まずは歯みがきから始めたい。とのことでしたので、歯みがき教室を行い、歯みがきを始めていただきました。

実際に歯みがきをしていただくと、歯肉からの出血・痛みなどの症状があり、飼い主さま自身がお口の異常に気付き、処置を希望されました。

 

早期に処置を受けていただけたので、今ある歯を全て残すことができ、麻酔時間も短時間で済みました。

 

今回、歯肉炎が認められ、処置を行い改善されました。

処置を受けていなければ、起こっていたかもしれない、歯周病からの食欲の低下などの症状を、未然に防ぐことが出来ました。

 

歯みがきを再開していただき、この状態を維持していただくことで、このねこちゃんの今後の生活の質を良く出来たこと、飼い主さまに喜んでいただけたことが、とてもうれしく感じます。

 

京都市 左京区 動物病院 とよだ 歯科 

2017年09月30日