乳歯が残っている<不正咬合>(ポメラニアン 7ヶ月)歯科症例167

 

デンタルチェック時に、乳歯が残存し不正咬合が起こっていることが確認されました。

 

本来乳歯はこの時期に全て抜けないといけないのですが、残存しているため

このままにすると下顎永久犬歯が外側へ出ず内側へ入り込み、

上顎の歯肉に当たってしまいます。これを不正咬合と言います。

 

今回の処置では残存乳歯(乳犬歯4本を含む全7本)を抜歯しました。

下顎の永久犬歯は移動させ、できるだけ正しい咬合に収めるため外科的矯正を実施しました。

 

 

 

 

 

スケーリング

 

レントゲン検査

 

右上顎(写真左)と下顎犬歯・切歯部(写真右)のレントゲンです。

黄色の矢印の歯が永久歯、青色の矢印の歯が乳歯です。

永久歯の歯根部がまだ未完成で、外科的矯正が可能だと判断し

下顎の犬歯の外科的矯正を実施しました。

 

乳歯の抜歯処置

 

 

 

<即時傾斜移動による外科的矯正>

下顎犬歯

まず乳犬歯を抜歯し、歯科用エレベーターを用い永久犬歯を移動させます。

 

そして抜いた乳犬歯の歯根部を切断します。

 

切断した歯根部を、永久犬歯の根元に「くさび」として打ち込み、

永久犬歯を外側へ移動させ固定します。

 

→当院の歯科処置について詳しくはこちらをご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処置翌日から元気も食欲もありました。

処置から1週間後の診察では抜歯した傷はきれいに閉じていました。

処置から3週間後の診察では全ての歯は真っ白で

下顎の犬歯は伸びてきていました。

 

 

 

 

 

 

 

乳歯が脱落する時期を過ぎても残存することで、永久歯の不正咬合を招き

歯肉炎や歯周病をより早く起こす原因となるので、早期の抜歯処置が必要です。

 

すでに不正咬合が起こっている場合は、同時に外科的矯正を行うことで、咬合を正常に戻せるケースもあります。

しかし外科的矯正は、永久犬歯の歯根部が未完成な一時期しか行うことができず、

時期が過ぎてしまうと不正咬合を改善することは困難となります。

 

今回は良いタイミングで処置が実施でき、外科的矯正を行うことができました。

子犬のうちから歯みがきを始めていただきましたので今も良い状態を保てています。

 

これからも定期的な歯科検診を行いながら、良い状態を維持しましょう。

 

→診察から術前検査、手術への流れはこちらをご覧下さい。

 

2024年05月17日