数年前、歯石がついている とのことで来院されました。
診察では歯垢・歯石は認められましたが歯肉炎は起こっていなかったため、
歯みがきの仕方についてお伝えし、定期的に歯科検診に来ていただいていました。
昨年ぐらいから歯みがきを嫌がるようになり、歯みがきすると出血することもあるとのこと。
歯周病が起こっていると思われたため、飼い主様とご相談の上、
術前検査、その後歯科処置を実施しました。
歯周プローブ検査
左上顎第1・第2後臼歯は歯周ポケットが12㎜以上あり、ひどくぐらついていました。
この部分を歯科レントゲンで確認すると・・・
上顎切歯は歯周ポケットが深い歯が2本あり、
通水テストをしたところ、うち1本が口腔鼻腔ろうになっていることがわかりました。
通水テスト
口腔内から注入した生理食塩水が鼻からでています。
歯科検査により、
これらの歯は歯周病が進行し、歯を支えている歯槽骨や顎の骨にまで及んでいることがわかりました。
このままでは痛みや感染を取り除くことは難しいと判断し、抜歯処置を実施しました。
歯神経ブロック
スケーリング
超音波スケーラーで歯の表面の汚れを落とします。
抜歯処置
抜歯窩はきれいに洗浄し、歯槽骨をトリミング後、縫合しています。
ルートプレーニング
ポリッシング
歯科用軟膏の注入
術後すぐは痛みや炎症により、目やにや食欲の低下がみられましたが、
2~3日で食欲は戻り、目の症状も改善。
3週間後の診察時は、歯肉の炎症は全くなくなり、しっかり食べることができていました。
今回のケースでは、
診察時にはひどい炎症はないように見えましたが、
麻酔下で詳しく検査してみると進行した歯周病がみつかりました。
お口の状態は、なかなか見た目だけでは詳しく診断することができません。
だからこそ
「最近歯みがきを嫌がる、歯みがき時に出血する」などのいつもと違うサインに気付くことが大事です!
歯みがきを続けているからこそわかる「いつもと違うこと」は歯周病のサインかも?
お家でのケアを続けることの重要性を改めて感じました。