犬歯が折れた・歯が伸びた<猫破歯細胞性吸収病巣・歯槽骨炎・歯周病>(猫 Mix 10才)歯科症例161-①

 

*左上の犬歯が折れた

*折れる前に歯が伸びているように見えた

とのことで来院されました。

 

口腔内を確認すると

破折した左上顎の犬歯の歯肉部分が腫れ、歯根が残り露髄(ろずい)しているのを確認しました。

また右上顎の犬歯も少し長くなっていました。(写真左)

このように歯が伸びたように見える事を歯の挺出(ていしゅつと言います。

露髄や挺出は痛み伴うため、早期の歯科手術が望ましいことをお伝えし

後日術前検査後、歯科手術を実施しました。

 

露髄(ろずい)

歯の内部の「歯髄」が外側に露出してしまうことです。

露髄した歯ををそのままにしておくと歯髄から感染が起こり、腫れて痛みを引き起こします。

 

歯の挺出(ていしゅつ)

比較的高齢の猫ちゃんの上顎犬歯に最も多く見られます。

実際には歯が伸びたのではなく、

歯槽骨炎や慢性歯周炎などにより歯が押し出されたような状態です。

進行すると長くなった歯が下顎に当たったり、破折してしまったり

歯がぐらついたりすることなどにより痛みや不快感を生じます。

 

(写真は歯科処置時)

 

 

スケーリング

 

 

歯周プローブ検査

 

 

レントゲン検査

右上顎の犬歯のレントゲンです。

歯根が残っていることが分かります。(〇印)

 

下顎の臼歯のレントゲンです。

猫破歯細胞性吸収病巣(FORL) による吸収が確認されました。(黄色矢印)

 

検査後、抜歯処置を行います。

今回は右上顎の犬歯の歯根と左上顎の犬歯を抜歯しました。

また、吸収病巣がみられた下顎の前臼歯は

歯根の吸収がすでに起こっていたため歯冠切除術のみを行いました。

 

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2024年01月07日