前歯が何本かぐらついている
とのことで来院されました。
1年ぐらい前に歯が1本抜けて床に落ちていたそうですが、
「犬は歯が抜けても食べられる」という話を聞いたので、そのままになってしまっていたとのこと。
口腔内を確認すると、左上顎第2切歯がすでになくなっており、他の切歯もぐらついていました。
ぐらついた歯は痛みを引き起こします。
また、そのままにしておくと歯周病が進行し、顎の骨に影響を与えたり、
心臓・腎臓などの疾患につながることもあります。
後日、術前検査の後、歯科処置を実施しました。
歯周プローブ検査
歯科レントゲン検査
上顎臼歯部分の歯科レントゲンです。
第1第2後臼歯の歯根部は、左右共に歯槽骨の吸収が認められました。
これらの歯は歯周ポケットも深くひどくぐらついていたため、抜歯処置を行いました。
スケーリング
超音波スケーラーで表面の汚れ落とします。
その後、歯肉縁下の汚れを1本ずつ手作業で除去します。
抜歯処置
多根歯(歯根が複数ある歯)は、1本ずつに分割してから丁寧に抜歯します。(矢印は分割後)
抜歯窩は歯槽骨をトリミング後、きれいに洗浄してから縫合します。
(抜歯後の歯槽骨を滑らかにし、きっちり縫合することが、処置後の痛みや不快感の軽減につながります)
ポリッシング
歯科用軟膏の注入
<処置から10日後>
歯肉の炎症は治まり、口腔内はとても良い状態でした。
「口の臭いが全くしなくなりました!
病院でお口を快適にしてもらったのを覚えているみたいで、
今日は自分からどんどん歩いて病院に入ってきました!」
と飼い主さま。
痛みを取り除いてあげることで、とても快適になったのだと思います。
確かにワンちゃんは歯がなくても食べることができますが、
「歯周病の治療」をしなければ、どんどん進行し、痛みや不快感・全身の疾患につながります。
これからはお家でのケアが大切です。
これからも、お口の様子、定期的に診せてくださいね。