口が痛くて食べられない <歯肉口内炎・猫破歯細胞性吸収病巣>(猫 mix 11~12才)歯科症例112

 

歯肉炎が起こっている

食べたいのに口が痛くてうまく食べられない

ドライフードを食べると、痛いところに当たってギャッと鳴いて走って行ってしまう

体重が減ってきた

昨年と一昨年に歯科処置を受けられたとのことでしたが、

口の痛みがかなり強く、かかりつけの病院からの紹介で来院されました。

 

口腔内を確認すると、臼歯部分の歯肉に炎症がみられました。

また、口腔後部の歯肉にも炎症が起こり赤く腫れ、

歯肉口内炎が起こっていました(〇の部分)

 

飼い主さまは歯科処置を希望され、後日実施することになりました。

 

遠くから来院され、またかかりつけの先生からのご紹介だったため

術前検査はそちらで受けていただきましたが、特に異常はありませんでした。

 

 

歯周プローブ検査

歯肉の炎症のため出血しやすくなっていました。

 

レントゲン検査(下顎切歯)

矢印の4本は、

歯を支えている歯槽骨が吸収され、

(歯根部のまわりが黒く抜けています)

ひどくぐらついていました。

 

 

レントゲン検査(左下顎)

左下顎第3前臼歯は

猫破歯細胞性吸収病巣(FORL)により

広範囲な吸収が確認されました。

 

今回の処置では、ひどくぐらついていた下顎切歯4本と、全ての臼歯を抜歯しました。

〈全臼歯抜歯処置〉は、抜歯により臼歯の周りに起こっている炎症をおさえ、口腔内の状態改善をはかります。

 

歯神経ブロック

 

 

抜歯処置(歯根が複数ある歯は、1本ずつに分割してから抜歯します)

 

洗浄・歯槽骨のトリミング後、縫合

抜歯窩を滑らかにし、丁寧に洗浄・縫合することで、痛みや不快感を抑え、より快適な状態にします。

 

ルートプレーニング

 

ポリッシング

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処置後数日は食欲があまりなく痛み止めを使っていただきましたが、徐々に食欲は戻りました。

<処置から1週間後>

「処置前よりも、よく食べるようになりました。ドライフードも食べられています。」とのこと。

抜歯・縫合を行った箇所も問題なく、歯肉の炎症は改善していました。

<処置から約1か月後>

「ドライフードをしっかり食べているので体重が増えていると思います。

大きく口をあけてあくびが出来るようになりました」とのこと。

 

体重は処置時5.15㎏→5.65㎏に増えていました!

 

 

食欲があるのに食べられず、痩せてしまっていた猫ちゃん。

ギャっと鳴くぐらいの強い痛みもあり、とても強いストレスを感じていたでしょう。

今回の処置で、痛みを取り除き、しっかり食べられるようになりました。

体重も増え、お口が痛くなる前の元気な様子に戻ってくれて本当に良かったです。

 

これからも、お口の様子、定期的に診せてくださいね。

2019年07月01日