ウェルシュ・ペンブローグ・コーギー 8才6ヶ月 男の子
ワクチン接種時の身体検査にて歯石が多く歯肉炎も起こっていましたので、治療のためには全身麻酔での歯科処置が望ましいことをお伝えしました。
ご家庭でよく検討していただき処置を希望するとのことでしたので、まず十分な術前検査を行うこととなりました。
後日術前検査を行いました。
術前検査では大きな問題が認められなかったので、安全に処置が出来ると判断しました。
とよだ動物病院では、安全に麻酔をかけての処置を行うため、充分な検査を行っております。
検査の結果に基づき、その子に合わせた麻酔方法を選択しております。
麻酔導入後まず歯科検査を行います。
またこのわんちゃんは左右上顎犬歯の後ろに過剰歯が見つかりました。
この2本の過剰歯の状態を確認するためレントゲン検査を行いました。
咬合も問題なく、歯科レントゲン検査においても異常がありませんでしたので温存することになりました。
歯科検査の後、すぐに処置へと移ります。
まず歯神経ブロックを行います。
次に超音波スケーラーを使い汚れを落としてから、ルートプレーニングを行いました。
1本1本丁寧に歯肉縁下の汚れを搔き出していきます。
歯周ポケットに隠れた、スケーリングだけでは除去できない「歯石・歯垢」を専用の器具(キュレット)を使用して除去し、再びそれらが付着しづらいように歯の表面を滑らかにします。
歯科検査にて抜歯が決まった、左右上顎第2後臼歯です。
この歯は多根歯(歯の根元が2・3根に分かれている歯)なので、高速バーで切断・分割をしてから抜歯しました。
ただ強い力を加えて抜くのではなく、様々なテクニックを組み合わせ1つ1つ丁寧に抜歯していきます。
抜歯し穴が開いた状態になったところは、なめらかにトリミングし生理食塩水にてきれいに洗浄をしました。
当院では、お口の状態に合わせた検査を行い、抜歯しないと症状の改善が難しい・残しておくと痛みが残ってしまう・安全に処置できると判断した場合のみ、抜歯処置を行ないます。
不必要・無理な抜歯は行わず、処置後痛みがなく、今までよりも快適に過ごせるよう処置を行っております。
専用の器具を使い歯石を取り除くのですが、その時にどうしても目に見えない細かな傷がついてしまいます。これをこのままにしておくとまたすぐに歯垢や歯石が付着してしまうので専用の研磨ペーストを使って表面をツルツルにします。これによって歯垢や歯石を付きにくくします。
そして、歯周ポケットが深かった部分に抗生物質の歯科用軟膏を注入し、お口の中の汚れをしっかり洗い流し処置を終了しました。
処置翌日、元気も食欲もしっかりあり元気に退院しました。
🍀退院時には、歯科検診結果表をお渡ししています。🍀
退院翌日に様子をお伺いすると、
「とても元気です。今、フードをふやかしているのですが待ちきれない様子です。」とのことでした。
経過①(処置から8日後)
「とても元気で食欲もとてもあります。口を気にする様子もありません。」とのことでした。
歯肉の炎症もほとんどなく、歯はきれいなままの状態でした。
歯科用抗生物質軟膏を再注入しました。
犬歯部分の歯周ポケットは浅くなっていました。
健康な口腔内を保っていただくため、これからのホームデンタルケアについてお話しました。
歯みがき教室と専用のサプリメントについて説明しました。
経過②(処置から1カ月後)
「毎日歯みがき頑張っています。“ 歯みがき “ と言うとちゃんと来るようになりました。歯みがきペーストがだいすきなのでそれをご褒美として使っています。」とのことでした。
左右上顎第4前臼歯に歯垢が認められましたが、他の歯はしっかりみがけていました。
意識してその箇所をみがいていただくようお伝えしました。
歯科治療、処置をしたら終わりではなく、きれいにしてトラブルをなくしてあげてからが本当の始まりです。
そのまま放って置くとまたすぐに同じ状態を作ってしまい、不快・痛い思いをさせてしまいます。
継続したホームデンタルケアで健康な口腔内を守ってあげましょう!!!
引き続きご家庭でのデンタルケア頑張りましょう★