乳歯が残っている<不正咬合>(トイプードル 7カ月)歯科症例173

 

 

デンタルチェック時に乳歯の残存が確認され、

さらに萌出してきた右下顎犬歯と右上顎第3切歯が、

左下顎犬歯と左上顎第3切歯がぶつかり、不正咬合を起こしていました。

 

今回の処置では、残存乳歯(乳犬歯4本・切歯1本)の抜歯と

さらに左右の下顎犬歯を正しい位置に収めるため外科的矯正を行いました。

 

 

 

 

スケーリング

 

 

レントゲン検査

下顎のレントゲン写真です。

青色の矢印が乳歯で、黄色の矢印が永久歯です。

永久歯の歯根部がまだ未完成(黄色点線)で外科的矯正が可能だと判断し、

左右下顎犬歯の外科的矯正を行いました。

 

 

乳歯の抜歯

 

 

<即時傾斜移動による外科的矯正

右下顎犬歯です。

乳歯の抜歯後、歯科用エレベーターを用いて永久犬歯を移動させます。

 

 

次に抜いた乳犬歯の歯根部を切断します。

 

切断した歯根部を、永久犬歯の根元に「くさび」として打ち込み

永久犬歯を外側に固定します。

 

→当院の歯科処置について詳しくはこちらをご覧ください

 

 

 

右上顎

 

右下顎

 

左上顎

 

左下顎

 

正面

 

 

 

退院後もいつも通り元気でよく食べています。とのことでした。

 

処置から8日後の診察では、抜歯した箇所の傷はきれいに閉じていました。

処置から25日後の診察では、左右共に上顎第3切歯と上顎犬歯の間に下顎犬歯が納まっており、

正常な咬合となっていました。

 

右側(処置前・処置後)

 

左側(処置前・処置後)

 

正面(処置前・処置後)

 

 

 

本来なら抜けている時期を過ぎても乳歯が残っている状態を「乳歯の晩期残存」と言います。

この状態は、永久歯が正常に生えるのを妨げるだけでなく、

不正咬合や、歯周病になりやすい状態になってしまいます。

 

このわんちゃんは生後4カ月の頃から定期的に来院されていたため

適切な時期に適切な処置を行うことができました。

 

処置後の診察時に歯みがき教室を行い、

自宅での歯みがきを頑張ってもらいながら、

今後も定期的なデンタルチェックを行う予定です。

良い状態を保てるよう一緒に頑張りましょう!

 

 

 

→診察から術前検査、手術への流れはこちらをご覧ください

 

 

2025年01月04日