右上の奥歯がぐらついている。いつからか分からないが、痛みはなさそう。
歯みがきを始めるのが遅く、始めようと思った時には既に歯石も付き、口臭もあった。
とのことでした。
全ての歯肉にひどい炎症が認められました。
右上顎第2・3前臼歯・左上顎第3前臼歯は歯根まで歯肉が後退し、ぐらつきもありました。
後日術前検査を実施し、血液検査・心電図検査・胸部レントゲン検査で、異常は確認されませんでした。
口腔内のチェックで、ぐらついていた右上顎第3前臼歯が脱落しているのが確認されました。
プローブ検査
ぐらついていた右上顎第2前臼歯・左上顎第3前臼歯はどちらも12mm以上と、非常に深いポケットが形成されていました。
その他に切歯・上顎の臼歯・下顎の第1後臼歯もポケットが深くなっていました。
既に欠損している歯が10本ありました。
レントゲン検査
左上顎第3・4前臼歯、第1後臼歯部分です。
ポケットは9~12mmと非常に深いポケットが形成されていました。
上記と同様に、吸収病巣が確認されました。
左右第1後臼歯です。どちらも歯根部が収束した変形歯で、ポケットが9mmありました。
歯神経ブロック
スケーリング
ルートプレーニング
通水テスト
右上顎第2前臼歯です。
通水テストを行うと、歯周ポケットから注入した生理食塩水が鼻から出てきます。
これで、口腔鼻腔ろうになっていることが確定できます。
左上顎第3前臼歯も同様に、口腔鼻腔ろうが確認されました。
右上顎第4前臼歯です。
右下顎第1後臼歯です。
この歯も多根歯なので、分割し抜歯を行います。
抜歯後の歯です。歯根が湾曲(収束)した変形歯でした。
今回プローブ検査とレントゲン検査で、計10本の歯の抜歯を決定、実施しました。
ポリッシング
抗生物質軟膏注入
今回、3歳7ヶ月で計10本の抜歯を実施しました。
口腔内の状態は、この年齢からは想像が出来ないほど悪く重度の歯周病が認められました。
上顎は口腔鼻腔ろうがすでに2ヵ所で起こり、
下顎の左右第1後臼歯の吸収病巣も進んでおり、
このまま放っておけば下顎骨折が近い将来起こっていたかもしれません。
口腔内の状態は、もちろん何もしなければ年齢と共に悪くなります。
ですが、年齢だけでなく犬種や猫種、歯の咬合、お口の中の細菌叢、普段の食事、など
様々な要因が重なり、年齢以上に口腔内の状態を悪化させる場合があります。
今後は、毎日のホームデンタルケアで口腔内の健康を維持しましょう。