口を床にこすりつける<外傷性脱臼・歯周病>(マルチーズ 14才)歯科症例172-①

 

 

*口を床にこすりつけるようになった。

*口をガクガクさせたり掻いたりして気にしている。

*奥歯が倒れているように見える。

 

この症例のわんちゃんは3年前に当院で一度歯科処置を受けられ、

その後ご自宅での歯みがきや定期的な歯科検診を受けられていました。

ですが数カ月前から次第に歯ブラシでの歯磨きを嫌がるようになり、

最近はシートでの歯みがきとサプリメントを続けていらっしゃいました。

 

口腔内を確認すると、右側の歯肉、歯肉粘膜の発赤が酷く、

その痛みのためか充分に口腔内を確認することが難しい状態でした。

 

後日術前検査を行い、歯科処置を実施しました。

 


歯科処置時の上顎第4前臼歯の写真です。

左上顎第4前臼歯と比べると右上顎第4前臼歯が内側に倒れているのが確認出来ます。

 

 

 

歯神経ブロック(局所麻酔)

口腔内の炎症が酷く、少し触れるだけで痛みを感じていたため、

最初に歯神経ブロックを行いました。

 

 

右上顎第4前臼

この部分の歯肉は激しい炎症を起こし、一部は歯肉壊死を起こしていました。

歯は完全に脱臼していました。

 

 

スケーリング

 

 

歯周プローブ検査

歯周ポケットの深さを計測します。

ポケットが深い場所で6mmあり、多くの歯でぐらつきが認められました。

根分岐部病変(歯周病が進み歯槽骨が溶けてしまい歯根部が露出している状態)も多く見られました。

 

 

歯科レントゲン

右上顎第4前臼歯です。

歯は脱臼し変位を起こしていました。

 

 

下顎切歯です。

歯周病により黄色斜線部分の歯槽骨が溶けていることが分かります。

 

 

検査後、抜歯が必要か判断し処置を行います。

 

 

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2024年11月12日