乳歯が残っている<不正咬合>(マルチーズ 8カ月)歯科症例169

 

 

デンタルチェック時に乳歯の残存が確認され、

さらに萌出してきた左下顎犬歯と上顎第3切歯がぶつかり、不正咬合を起こしていました。

 

今回の処置では、残存乳歯(乳犬歯を含む全9本)と

さらに左下顎犬歯を正しい位置に収めるため外科的矯正及び上顎第3切歯(抑制矯正)の抜歯を行いました。

 

 

 

 

スケーリング

 

 

レントゲン検査

下顎のレントゲン写真です。

青色の矢印が乳歯で、黄色の矢印が永久歯です。

永久歯の歯根部がまだ未完成(黄色点線)で外科的矯正が可能だと判断し、

左下顎犬歯の外科的矯正を行いました。

 

 

乳歯の抜歯

 

 

<即時傾斜移動による外科的矯正

左下顎犬歯です。

乳歯の抜歯後、歯科用エレベーターを用いて永久犬歯を移動させます。

 

そして抜いた乳歯の歯根部を切断します。

 

切断した歯根部を、永久犬歯の根元に「くさび」として打ち込み

永久犬歯を外側に固定します。

 

 

左上顎第3切歯の抜歯

 

左下顎犬歯の即時傾斜移動を行いましたが、

それでも左下顎犬歯と左上顎第3切歯がぶつかり

このままでは歯で歯肉を傷つけたり、早期に歯周病を引き起こす可能性があるため抜歯を行いました。

抜歯を行った箇所は、洗浄し縫合をしました。

 

 

→当院の歯科処置について詳しくはこちらをご覧ください

 

 

 

右側

 

左側

 

正面

 

 

 

処置翌日から元気でした。

もともと食欲にムラがあるわんちゃんだったので心配でしたが

フードに少しトッピングをすると食べますとのことでした。

 

処置から5日後の診察では、抜歯した箇所の傷はきれいに閉じていました。

処置から20日後の診察では、歯は全て真っ白で、咬合も問題なく、

左右共に下顎の犬歯がさらに萌出していました。

 

右側

 

左側

 

正面

 

 

 

本来なら抜けるはずの乳歯が、何らかの原因で抜け落ちず、

永久歯の不正咬合を招くことで、歯肉炎や歯周病をより早く引き起こす原因となります。

 

すでに不正咬合が起こっている場合、乳歯の抜歯と共に外科的矯正を行うことで、

咬合を正常のケースに戻すことが出来ます。

しかし外科的矯正は永久歯の歯根部が未完成な一時期しか行う事ができず、

矯正する時期が非常に重要となります。

 

今回は永久歯(左上顎第3切歯)の抜歯が必要となりましたが、

これにより不正咬合が改善され、今後快適な生活が送れると思います。

今後も定期的な歯科検診を行いながら良い状態を維持していきましょう。

 

→診察から術前検査、手術への流れはこちらをご覧ください

 

 

2024年07月26日