歯にヒビが入っている・飲水量が落ちている<破折>(柴 12才)歯科症例97

 

歯にヒビが入りぐらついているみたい。一昨日歯みがきしたときに気が付いた。

硬いものをかじったりもしていないし思い当たることはない。

食欲はあるが、飲水量が落ちている。

体を振るときにいつもより勢いがないので、痛かったりしみたりするのかも・・・。

以前他院で、歯科処置を受けたことがある。

とのことでした。

 

右側上顎第3切歯の破折があり、破折ラインは歯肉縁下に及んでいたため、抜歯が必要と判断しました。

一部歯に着色があるものの、BL検査(特殊なライトを当て歯垢・歯石を光らせます)では蛍光を示す歯はほとんどありませんでした。

 

飼い主さまは歯科処置を希望されましたので、後日術前検査を行うことになりました。

 

 

術前検査では大きな異常は見つかりませんでした。

 

(術前検査前夜、歯みがきを行おうとしたところ完全に歯が折れていることに気が付いた。と飼い主さま。

腹部レントゲン検査で消化管内に破折した歯が写っているのが確認されました。)

 

 

破折した右側上顎第3切歯です。

歯冠は完全に脱落し、歯神経が露出しているのが確認できます。

 

プローブ検査

今回破折した右側上顎第3切歯と右側上顎第2後臼歯は歯周ポケットが4mmで、わずかに深くなっていましたが、それ以外の全ての歯のポケットは1~3mmと、とても良い状態が維持されていました。

 

 

歯科レントゲン検査

破折していた上顎第3切歯に感染所見はありませんでした。

 

歯神経ブロック&局所麻酔

 

スケーリング

 

ルートプレーニング

 

抜歯縫合処置

 

 

ポリッシング

 

 

 

 

 

 

 

 

破折は強い痛みを伴う歯科疾患の1つです。

今回飼い主さまが毎日歯みがきを行われていたため発見が早く、迅速に処置まで進めることが出来ました。

また、日頃からほぼ完璧にデンタルケアを行い、全身の健康状態を維持出来ていたため術前検査でも大きな問題はなく、処置後の回復も非常に早くその日に退院することが出来ました。

 

毎日の口腔内のケアは全身疾患の予防に繋がります。

また毎日ケアを行うことで、異常に早く気づくことが出来、痛み・違和感を感じる期間を短くしてあげることができます。

 

今回は飼い主さまの日頃のケアが十分行き届いていると感じた、良いケースでした。

 

2018年05月21日